「竜馬語録」(7)

 今回の竜馬語録は、
「実に天下に人ぶつのなき事これを以てしるべく、なげくべし」
 この言葉は、文久三年(1863年)6月29日付けの乙女姉さん宛の書簡にある。私訳では、「じつに世の中には人物がいないことを知って、嘆いてしまう」でしょうか。竜馬が当時、志士として目覚め、さまざまな人物に会っているにもかかわらず、竜馬の目にかなう人物がいなかったのだろう。この場合の人物は、その人の個性のことではなく、人々を統率できる指導者を指していたのではないだろうか。ただ、師匠の勝海舟や薩摩の西郷隆盛、長州の桂小五郎などは一目置いていたことは、その後の竜馬の行動でも確かのよう。
 
【世の中が平穏無事な時には、竜馬の考える人物はいなくても過ぎていくだろうが、例えば今回のような大震災の際には、竜馬のいう人物がいないことを痛感する。政府は元より政治家や経済界などにも人物はいないように思う。彗星のごとくヒーローは現れないものだろうか!?……】