【今日の竜馬】?謎?小龍とは会っていない!?

河田小龍というと、土佐の絵師で情報通、ジョン万次郎漂流を記録、新しい考え方を持っていた。竜馬はこの小龍と会ったことで開眼し、その後に大きな影響を与えたといわれている。

 ところが、竜馬の現存している手紙には一切この小龍のことが書かれていないのだ。大きな影響を受けた人ならば、その消息などを尋ねるのは普通のことで、細かな気配りを手紙に書く竜馬としては、ちょっとありえないと思うのだが……。
 小龍と竜馬が会って話しをした記録というのは、小龍の手記「藤蔭略話抄録」に書いているだけである。その手記によると、嘉永7年(安政元年1854)龍馬は新知識を持つ河田小龍の考えを聞くべく小龍の宅を訪ねてきていて、次のような話しをしたとしている。

「これからは黒船はいくらでもやってくる、攘夷などといってはおれなくなる、これからの日本は大きな外国船を購入し、航海術を習得し、海運業をすべきである」
と小龍がいうと、龍馬は「あなたは内にいて人をつくり、僕は外にいて船を得ますよ」と答えたという。
 将来の海援隊(亀山社中)をつくるきっかけとなるようないい話しである。

 これは本当の記録なのであろうか!? あまりに出来すぎのような気もするのだが……もし、ここまでの話しをしているなら、小龍との手紙のやりとりがもっとあってもおかしくない。少なくとも謎のある出会いである。
(→写真は河田小龍)