【今日の竜馬】純愛に一生をささげた佐那子!?

竜馬が結婚したのはお龍だったが、一般的にはその前の剣術修行のときに小千葉道場の千葉定吉の長女・佐那子と婚約していたというのが知られた話。だが……

 通説では、『竜馬が目録を授けられた後、千葉定吉から佐那子との婚約を許された。その際千葉家から坂本に短刀一振が正式に贈られ、何も持っていなかった坂本は新しい紋付を 差し出したという。この後、竜馬はお龍と出会い、佐那子のことを忘れてしまい、お龍と結婚してしまった。佐那子は婚約の際にもらった紋付のの部分を切り取り生涯その紋を離さず独身を通した』というもの。
 おお、なんという純愛! 恋物語! といいたいところだが、竜馬と佐那子はどうも婚約まではしていなかったようだ。そして紋付も渡していなかったらしい。

 佐那子自身が『千葉灸治院』で語っているところでは
「これは父が阪本さんに贈るために染めましたが、国事にほん奔走し、道場へもあまり来なくなり、私が切り取り形見として持っております。」
 明治26年の『女学雑誌』掲載の「阪本龍馬の未亡人を訪う」では?龍馬が松平春嶽から貰った物(紋付)を佐那に贈った?とある。
 どちらにしても、紋付は直接竜馬が佐那子に婚約の印として渡したということはないと考えられる。
 
 佐那子が生涯、紋付の紋部分を持ち、「私は竜馬の婚約者でした」と云い、独身だったのは確かだが、正式に婚約までしていたというのは疑問が残る。だが……
 『汗血千里駒』に記された龍馬の恋人は佐那子ではなく、千葉周作の娘・光子となっていて、これについて佐那子自身が『千葉灸治院』で否定している。
「『汗血千里駒』の誤りを正すため、学習院でもずいぶん人に(紋を)みせましたよ」
 なんだか胸が痛くなるほどの想いが佐那子にあったようだ。そして佐那子と竜馬が深い仲であったことは確かである。竜馬も罪なオトコだねぇ〜!
(→千葉佐那子の墓碑。ウラには「坂本龍馬」と刻まれている)
(竜馬伝説)