【今日の竜馬】ニセの御前試合!?

御前試合というのは、殿様の前でやる試合のこと。で、竜馬を語る上で、ある意味もっとも有名なのが1857(安政4年)年に江戸鍛冶橋土佐藩で行われた武術大会だ。
 この試合表の記録は、維新歴史研究家の尾道さんが、土佐藩剣道指南役・石山孫六の養子から提供され、興味を抱いて『海援隊始末記』に掲載したもの。
この記録によると、審判員は神道無念流斉藤弥九郎鏡新明智流桃井春蔵(代人が出ている)、北辰一刀流千葉栄次郎ら5人。出場した剣士の中には、竜馬もいて島田駒之助なる人物と試合をして勝利を得たことが記されている。この大会には桂小五郎も参加したことになっている。全部で52試合が行われ、当時の有名な剣士がずらりと並んでいるとか。竜馬は一試合だけ。小五郎は一勝一分けの結果が出ている。

 ところが、同時代史料の『山内家日記』に該当する記述がないこと、桂小五郎の伝記『木戸孝允公伝』にも記述がない、さらに開催された当時、江戸にいるはずのない人物が出場している。というところから、真っ赤な偽物だった。
 このほかにも、ニセの試合がある。桃井春蔵士学館で催された「撃剣会」にも竜馬は出場し、桂小五郎と試合を行ったとする記録がある。この撃剣会の開催は安政五年10月25日の事となっているのだが当時、龍馬はすでに江戸を離れ9月4日に土佐へ帰郷している。
 なぜ、こんなニセの剣術試合が多いのだろうか? その理由はナゾとしかいいようがない(笑)。