【今日の竜馬】竜馬ブームの火付け役!?

■明治から現代まで、その時代、時代に?竜馬ブーム?がやってきている。

 坂崎紫瀾の新聞連載から時が経って、次に竜馬ブームが起こるのは、日露戦争の時だ。日本海でロシアのバルチック艦隊と戦う前に、竜馬が皇后陛下の夢枕に立ち、「日本海軍は絶対勝てます」ということを話したとかで、これが全国の新聞に掲載された。
 皇后陛下はこの人物を知らなかったのだが、当時の宮内大臣田中光(高知出身)が、竜馬の写真を見せたところ、間違いなくこの人物だということになり、竜馬は一躍、海軍の神様となって脚光を浴びたのだ。現在では、土佐出身の田中光顕が竜馬を利用したものだといわれている。
 その次の竜馬ブームは、大正デモクラシーの時。大政奉還の基となった船中八策の第二条目に、「万機宜しく公議に決すべき事」とあり、これがデモクラシーの先駆と考えられている。さらに、大政奉還により平和的に倒幕を成し遂げた平和革命論者のイメージも定着した。
 ところが昭和3年に桂浜に銅像が建立された時には、除幕式に海軍・陸軍両方の兵士が参列し、駆逐艦まで碇泊。さらに、第二次世界大戦中は県下の銅像はほとんど供出されたにも関わらず、竜馬と慎太郎は天皇のために働いた人物ということで、二人の銅像は残されたりして、軍国主義の宣伝に使われた。
 そして現代では、司馬遼太郎竜馬がゆくベストセラー(ロングセラー!?)になり、現代の竜馬ブームが起こったのだ。これまで、色々な形で政治に利用されてきた竜馬ではない、明るく自由な竜馬像が広く受け入れられたというわけだ。かくいう私も取っ掛かりは『竜馬がゆく』を読んだことから始まっている(笑)。

(写真は田中光。横顔の写真というのは当時としてはかなり珍しい!)